ローズ2月号

<この人と1時間 > 
画家・写真家 加藤 幹彦さん

地下鉄網整備のため、一九七四年に全廃された名古屋市電。廃止が決まると、美術教師だった加藤幹彦さん(82)は記録に残そうと写真を撮り始め、全廃の折には「現物を手元にも残したい」と路面電車一両を十五万円で自宅に引き取った。古民家や堀川に架かる橋なども絵に描き、写真を撮り続けている。廃線から四十三年、市電を知る人も少なくなった。時代の息吹きを感じさせる叙情的作風。「今よりもゆったりと時間が流れていた」。「古き良きあの頃の素晴らしさ」を語ってもらった。